青葉抄H25年

青葉抄  平成二十五年

黄落の秩父神社の宵早し
腕時計気にして見てる冬帽子                             
聖夜祭夢の欠片の灯をともし

巳年開け逸るひとひを初茜
初句会晴れた空まで声通る                             
冬りんご書斎に一人お留守番

化粧水小瓶に残る春はじめ
芽キャベツの甘さ色濃く朝忙し                             
走り来る早春の大地の目覚め

目黒川花から花へ花の橋
満開を早めて過ぎる花の風                            
春の水ゆるりと海へ多摩下る

花の屋根極楽浄土とはこんな
蛇穴を出れば突然風強し                             
莢豌豆莢取る間さえ気忙しく

たかんなの力みるみる葉をつける
見下ろせば新緑の海へと続く                             
葉に染まり紫陽花の珠まだ莟

鍋の火を止めて蚊の飛ぶ通り雨
待ちぼうけぽつりと傘をさす梅雨                            
雨垂れの一日長く夏至過ぎる

パセリ手折る一人のランチメール読む
滝の音吸込まれゆく山の水                             
虹と虹降りる袂の岐れ道

朝顔のつぼみ見つける蔓の先
輪切りのレモン浮かばせてクリスタル
雨粒の落ちてどこかで遠雷か

淋しさは秋の気配か夕ぐれか
このままですむ筈がなし柿を剥く
姉は姉里の我家に虫時雨

ピーナツを割れば夜更けの鳴き烏
吹きまくる風に負けじと花芒
結局は言われて気づく実南天

噛み締める房を数えて蜜柑食む
てるてる坊主富士を湖上に紅葉散る
湖畔より社へ昇る冬霊気

2016年12月24日 | カテゴリー :