青葉抄H22年

青葉抄  平成二十二年

初昔八峰臨む滝の寺
空高く夢の翼の破魔矢飛ぶ
ぺんぺん草大人真似てのおままごと                             

菜の花の綿雲と成り風の丘
暮れなずむひとひを惜しみ梅灯る
淡雪の垣根に降りて朝の町                                     

風そよぐ町から町へ春の詩
飾り雛箱より出され睦まじく
目を覚ませ木々の芽開く朝が来る

始まりを待つは桜の咲くを待つ                              
花冷えの町を見下ろす最上階
葉の波を越え菜の花の蝶ひらら

そよ風の調べすみれの色をして                              
暁に夜風と消える闇の声
葉裏より落ちて五月雨玉の粒

蚕豆の晴れた空色朝の卓                              
新緑の風は空へとビルを越え
梅の実の便りいつしか長電話

蔦若葉伸びては伸びる天までも                           
雨垂れにひとひの過ぎて七変化
等々力渓谷にて
万緑のオアシスとなる谷沢川

竜頭滝役の行者か夏木立                              
不動尊拝む肩ごし夏揚羽
天高く雲の波間を草の川

女郎花夕べの空を野に映す                             
新涼の白馬八方旅の宿
秋暑し空群青の昼ひなか

白舟に秋は遅しとかもめ鳴く                            
十六夜の月を隠すか雨が降る
垣根越し白粉花に雨落ちる

小鳥来て句集を捲る音静め                             
石の坐を黄葉が埋める日曜日
紅葉散るメトロ沿線小雨降る

師走来て雑踏絶えぬ広小路                              
クリスマスまた誰しもが夢の中
ミラノよりケーキの小箱聖誕祭

2016年12月24日 | カテゴリー :