青葉抄2014年1~6月
クリスマス明日へ見果てぬ夢探す
柚子湯して指で数える余す夜
鱈鍋の肉の締まれば北訛り
初春に濁世(じょくせ)を清め空晴れる
屠蘇袋静かに開けて邪気除ける
身を正し朝陽を迎え淑気満つ
早蕨(さわらび)の伸びて沢風におはよう
白梅の莟の声を日々記す
淡雪に消されてもこの道を歩く
雛あられ軽やかに微風を呼ぶ
さくら咲く生まれ変われたら何になる
朝晴れて記憶の欠片雪解ける
カレンダー捲り八十八夜来る
紋白蝶せせらぎの音を陽と過り
頬白の影と光りを葉から葉へ
箱根路を登る新緑一号線
冷茶飲む古茶か新茶か二の次に
幼子の声軽やかに町みどり